マンガに恋する女の ゆるゆるライフ

どこにもない国 (EDGE COMIX) 草間 さかえ 茜新社 2011-09-24 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools

～ストーリー～
こうしてると…二人だけあの島にいるみたいですね。
草間さかえの描く、理想郷（ユートピア）。
戦時中、南方戦線の状況下、上官と部下の関係から始まった
限りなく透明で純粋なラブストーリー。
南方戦線での状況下、たびたび問題を起こしては処罰される部下・早川と、
厳しい隊長の竹内。二人の間にはある秘密があって…。
そして時代は終戦を迎え、復員船で祖国に戻った二人は共に暮らすようになるが――。
男同士の情愛の儚さを、当時の風景を濃密なタッチとともに描いた表題作とその続編。
ほか読み切り５篇を収録した、ファン必携の作品集。（コミックス帯より引用）

「俺はこの瞬間が好きだ。
　彼の手が震えているのも、
　泣きそうな顔を見るのも俺だけで
　どこにいても人がいても、
　不思議と二人しかいない感じがする」
罰を与えながら苦悶する竹内隊長に魅せられる部下の早川の恋物語。
戦時下（近代）という時代設定が懐古あり
更に上官と部下という主従関係がとても魅力的。
（以下、BLネタバレ感想です）


敵襲により早川と聴力を失った竹内の二人のみが生き残った南の島で
早川は2人きりの時間を過ごしたく終戦したことを竹内に告げず。
川で竹内の体を洗いながら早川が一人こっそり達く、という過程もありつつ
ふとしたことから竹内は耳が聴こえることを明かし・・・
「二人だけになってみたかっただけだが？
　お前だってそうなんだろう」
マッパでスラスラ告白する隊長がスマートで眩しい･:*:･ﾟ

冒頭での早川への処罰の件で苦悶している様子から竹内は弱弱しいイメージでしたが
その実、早川に惹かれていたから処罰する事に躊躇する様子をみせていたのですね。

日本に帰国し、竹内の家で二人だけの時間を過ごし始めるものの、
帰国の際に、港で息子を探す早川母を無視し
早川にこの事を明かさずにいることを竹内は悔やみ続け。
「私は戦争に行く前からこんなにも心ない人間だったか？
　どこか一部分、置き忘れてきたんだ。
　ここでこのまま暮らせばいい」
これがエピソードのタイトル『パラダイムロスト』に繋がるのですね、ふむふむ。
ラストは落ち着くところに落ち着きますが（ハッピーエンドです）
前述した通り、戦時下や戦後直後を背景とした主従BL作品は
どこかエキゾチックとインモラルなムードを持ち合わせ、従者攻めというのが魅力的でした。

また、同時収録されている短編『1と2の間』『0と1の間』『0か1の世界』は
男子バレー部員が主人公の物語。
「ついてない女の人もいるってこと？」
幼少時、セーラー服でエッチしてた女子（実は隣のお兄さんだった）を目撃して
女性にも男性と同様のブツが付いていると勘違いしていたバレー部員の恋バナや、
男子コーチから操を狙われるバレー部長の身を副部長が密かに防御してくれていた恋バナ、
などなど現代男子高校生の物語。
『どこにも～』とは違うカテゴリーでこちらも興味深かったです。
副部長は不毛ながらもラストは形勢大逆転（!?）することが出来て何よりでした（笑）

　　　

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