~ストーリー~
鶴来升一郎(つるぎしょういちろう)は、
老舗の高級味噌屋の若旦那。
名だたる「道楽息子」で器用貧乏の変わり者。
そんな彼のご贔屓は、怪談にしか能がなく、
金次第でなんでもする曲者の幇間(たいこもち)・与三郎(よさぶろう)。
嘘か真実か若旦那、与三郎に言い寄って!?
吉原の料亭「幻月楼(げんげつろう)」の座敷を夜ごと彩るのは、
人の世の欲望とあやかしが織りなす不思議語り。
(第1巻・裏表紙より引用)渋さと独特な世界観を持つ今市子ワールド。
この作品は『百鬼夜行抄』のようなアヤカシが登場するものの
軸となっているのは人間の業によって引き起こされる事件で、
それにBL風味をプラスしたもの。
キスシーンはあるものの絡み合う濃厚シーンはなく
しかし内容的にはとても読み応えがあります。
(以下、ネタバレ感想です)
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『限りなく昭和初期に近いある時代』が設定。
父親の葬儀で腕にキズのある怪しい人物を目撃した若旦那・升一郎。
その怪しい人物は吉原の料亭で
幇間(宴席に出て客の遊びに興を添えることを職業とする男性)
として働く与三郎という人物。
この与三郎を若旦那は部屋へ連れ込んで押し倒して────
・・・と早速押し倒しかー!
失神してしまった与三郎を全裸にしちゃったヨ~(笑)若旦那は与三郎が犯人かどうかを確かめるためだけに
全身を剥いだようですが
「もののついでだから」という言葉で済ましたよこの人は~w
気を失った与三郎には何もせず、1人寝酒を飲む若旦那。
その盃に映る月模様は、与三郎の顔のほほにも映っていて────
・・・それは好きあった者同士が見られるという幻の月。これからの2人を示唆しているのかと思って
ドキドキしてしまいました。
世継ぎ問題で若旦那が殺されそうになる中、
死んだはずの幻月楼の大女将が霊となって助けてくれたり
実はその大女将が若旦那の実母だったり等等
いろいろと「えぇぇ!??!」と思わされる謎解きが面白いです。
「また来やがったよ、バカ旦那が・・・
金ヅルの御機嫌取りに行くか」なんて与三郎は言いながらも、
なんだかんだで若旦那のペースに飲まれていく姿もまた楽しくて。
若旦那とその元彼女との仲を取り持たせようとする与三郎に対し
「俺はまた妬いてくれたのかと思ったよ」という若旦那、なんて楽観的な考えだー(笑)
そうとう自分に自信があるんですね。
「ああ・・・もう。しょうがないお人だよ」と流されて若旦那とキスする与三郎も
実はそれほど嫌そうでもないところが読者をウハウハさせてくれるツボです^^
若旦那は天然不思議ちゃん的なところがありますが
ちゃんとカッコ良くキメる時はキメるキャラ。
与三郎は幇間として面白い口調なのに意外と女性にモテるキャラで
しかし深い過去を背負いアヤカシの見える体で。
1話ごとに2人が魅力的でセクシーな人物になっていくので
物語にどんどん惹きこまれていきます。
第2巻は8月25日発売ですが、
2人のモドカシイ関係はまだまだ続きそうなのかな。
今市子先生の作品では『B級グルメ倶楽部』もオススメです!
『B級グルメ倶楽部』第2巻・感想記事はコチラ
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